ピエリ守山が遂に本当の廃墟に。滋賀県はショッピングモール業界のレッドオーシャン?

生ける廃墟、明るい廃墟としてお馴染み、滋賀県守山市のショッピングモール「ピエリ守山」から2/28付けで遂にテナントが全て撤退し、リニューアルに向けて休館という事になりました。


現在ピエリ守山のHPでも休館告知がされています。

ピエリ守山は2008年に開業したショッピングモールで食品スーパーのバロー、スポーツ用品店ヒマラヤ、靴販売店のABCマートなどを核テナントに200のショップが出店していましたが、核テナントがチェーン展開している他のショッピングセンターにも出店しているテナントでもあり、テナント構成に独自性や特別感がなく、開業直後に開業した近隣ショッピングセンター「イオン草津」「エイスクエア」「フォレオ一里山」、琵琶湖大橋対岸の「アルプラザ堅田店」との競争に苦戦、大津PARCOもファッション業態の業績が伸びずテナントがショッピングセンター化しており、更に京都駅前に開業したイオンKYOTO、東側には三井アウトレットパーク滋賀竜王が開業など、強力なショッピングモールが続々と出現した事で更なる苦戦を強いられ、続々とテナントが減少し、遂には先月末で休館という形になりました。

既に2014年末から2015年にかけてのリニューアルを目指し、マイルストーンターンアラウンドマネジメントがピエリ運営会社のピエリパートナーズ株式を取得したことを発表し、「魅力的な商業施設として再生する」と発表しておりますが、テナント誘致が順調には進んでいないとの報道もあり、今後が注目されています。

滋賀県は人口では大阪・兵庫・京都に次ぐ近畿4番目の県ですが、大阪・京都のベットタウンとして人口増加率は近畿ナンバー1という事もあり、子育て世代を中心に人口増加が激しく、「子育て世帯数」「子ども数」は全国2位という、大型ショッピングモールにとっては非常に魅力的な市場となっており、近年、上記のような大激戦が繰り広げられております。

実はこのような人口動態に目を付けているのはショッピングモールだけではなく、マクドナルドも機敏に反応しており、配送効率などから都市部中心に出店している同社の人口あたり店舗数1位は滋賀県となっています。
人口あたりの店舗数の分布を図にすると、関東と関西で東京と滋賀を中心とした2つの山があり、そこから離れるほど店舗数が少なくなっていきます。
それによりライバル店のモスバーガーは人口あたり店舗数が全国47位と、こちらもマクドナルドの強力出店でファーストフード業界も既にレッドオーシャンとなっており、ショッピングモールやマクドナルドなどファミリー層に向けた業態では、滋賀県は激戦の市場となっております。

ピエリ守山の再生としましては、距離や規模的な面で最も強力なライバルとなるイオン草津よりも、立地的なハンデを考えると圧倒するほどの魅力的なテナントを集める事が最低条件だと思われ、イオン草津もメンズ・ウィメンズ共に、20代~30代世代に向けた魅力的なテナントが入っておらず、特に大手セレクトショップ系のショップが入っていないので、竜王アウトレットとの兼ね合いはありますが、ショッピングモールのキラーコンテンツとなっておりますBEAMSやユナイテッドアローズ、パルグループ系のチャオパニック辺りの誘致、そして日本初出店、関西初出店、滋賀初出店などの目玉テナントの誘致、そして家族連れを集められるユニクロはマストではないかと思います。
更には地元のセレクトショップBORN FREEやSTORESなども魅力的ですね。

イメージや悪い意味での実績もありアパレルショップを中心とするショッピングモールとしての再生はテナント誘致から非常にハードルが高いと思われますが、一度話題になった地元のホームセンターグループ「アヤハディオ」などとの協業で大型複合ショッピング施設とする事でスペースを埋めるなど、ショッピングテナントをとりあえず埋めるという作業をするよりは、量より質を重視したテナント誘致を進めるのが良いのではないかと思います。
土地の有効活用で言うと、県内未出店のCOSTCOやIKEAのような大型店舗が最もマッチングするのではないかと予想していますが、まだ現状の人口では今すぐ出店誘致というのは難しいのかもしれません。

琵琶湖大橋すぐの立地で琵琶湖対岸からの集客も見込める場所で、更に周辺は瀬田、草津、栗東の宅地開発がドンドン進んでおり、守山から以北は野洲、近江八幡、能登川辺りまで京都、大阪への通勤範囲として、まだまだ今後の開発が見込めるので、またそれにより県内の産業も成長が期待出来ますし、将来的には非常に魅力的な場所だと思います。

ピエリ守山の経緯については下記記事を参照。

※参考記事
マクドナルドの人口あたり店舗数、1位は滋賀県のなぜ|Economic News
http://economic.jp/?p=29224