「ファーストリテイリングがJ.CREWを買収協議!?」報道。ファッション的に見ると・・・

世界の金融・経済の情報を報道するウォールストリートジャーナルが報じた情報によると、ユニクロなどを展開するファーストリテイリングがアメリカの大手アパレルブランド「J.CREW」の買収を協議しているとの事です。


ファストリ、米アパレル大手Jクルーの買収で協議中=関係者|ウォールストリートジャーナル
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304227204579411782266216154.html#articleTabs%3Darticle

 米アパレル小売り大手Jクルー・グループは、衣料小売りの「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングに身売りする可能性について協議に入っている。事情を知る関係者が明らかにした。買収額は最大50億ドル(約5100億円)とみられる。

 この関係者によるとファーストリテイリングがJクルー経営陣に買収案を持ちかけたのは今週で、Jクルーは買収金額として最大50億ドルを求めている。ファーストリテイリングがそれほどの金額を支払う用意があるか、また両社が金額について話し合いを始めているかどうかは不明。

 ただ同関係者は、この協議はまだ初期段階にあり、近い将来に決裂する可能性も残っていると話した。また、Jクルーは最近、その他数社から買収提案を受け取ったという。ただ、提案を持ちかけた企業の名前は明らかにされていない。
国際的に非常に影響力を持つWSJが報じた事で、ファッション業界よりも経済業界で先に話題になっておりますが、この話、経済的に云々ではなく、ファッションとして成立するのかどうかが今後の展開のキーポイントではないかと思うのですが、その辺りは経済指標では測れない分野でしょうから、今のところは全く考察されていません。

J.CREWはニューヨーク発のアパレルブランドで、日本ではセレクトショップに並ぶ事が多く、ファッションブランドとしてのイメージが強いですが、米国内ではアウトレットも含めると300店舗近くの出店をしているアパレル小売りの業態を取っています。
価格帯としてはカジュアルブランドとしては高めの価格設定で、アンダーカバーとのコラボやUTのクリエイティブディレクターへのNIGOの起用など、ブランド力を高める事で低価格からの脱却を図っている気配のユニクロとしてはJ.CREWのブランド力と共に、米国・英国・カナダに400店舗以上(米国内は300店舗近く)の既存店というのはかなり魅力的だと思われ、アパレル業界売上げ世界一(現在は世界4位)を目指すには近道となる買収と位置づけているのではないでしょうか。

J.CREWがファーストリテイリングに買収された場合、本国米国での影響は案外ないのかもしれませんが、日本でのJ.CREWのウリは「ニューヨーク発のブランド」という所であり、「アメリカブランド」として初期のころの80's、90'sのアイテムは古着業界でも扱われ始めており、ファーストリテイリング傘下という扱いになると、この「アメリカブランド」「ニューヨーク発」といったブランド力は少なくとも日本国内では失われる可能性があります。

ただ、WSJの報道にもあるように「コントワー・デ・コトニエ」、「ヘルムート・ラング」、「セオリー」、「プリンセス タム・タム」を既に運営しているファーストリテイリングとしては、既にユニクロと違った価格帯のブランドの運営や展開にもノウハウは有しており、国内の展開にも自信は持っていると見られ、グループ全体で目指すグローバル企業に向けてJ.CREW買収には相当前向きなのではないでしょうか。

別の報道では韓国の大手チェーン「イーランド」も買収に興味を示していると見られ、J.CREWがどこかの海外企業に買収される可能性は高い状況になっているようですね。
J.CREWは将来的なヴィンテージ古着市場の有力ブランドの一つになる可能性があっただけに、個人的には残念なニュースです。