ジーンズ業界が変わらず苦しい
久しぶりの苦境ジーンズ業界シリーズ。一時期、「頑張れジーンズ業界!!」の思いで、せっせと頑張って更新していたのですが、ジーンズのような一過言ある人がいっぱいいらっしゃる領域の記事を迂闊に書くと、なんだかんだといろんなツッコミがあるので、なんとなく書く気が失せていたのですが、先ほど更新した気になったファッションニュースの「時代性を上手く捉えたLevi's®渾身のニューモデル。」を書いていて、いろいろと思うところがあったので書いてみようと思い立ちました。
ジーンズブランド各社が見習うべき「ジャムの法則」とは?
まずこちらを取り上げたいのですが。こちらはFashion.comに寄稿されたファッションライター南充浩さんの今日公開された記事。
前述記事を書いていたら、ちょうどドンピシャのタイミングでこちらが公開されていたので、興味深く読みました。
南さんがライトオンでジーンズを買おうとして511と513の違いがよくわからなかった事から起因した記事で、「似たようなシルエットを多品番に分けて発売しすぎたこともジーンズナショナルブランドの不振の一因ではないか」といった指摘をされています。
ジャムの法則というのは「ジャムの選択肢を増やせば増やすほど、お客は選びにくくなってしまって売れ行き不振になると言われている」法則だそうで、それがジーンズにも当てはまるのではないかという指摘。
「たとえば、45歳の男性がジーンズでも買おうかと思った場合、4シルエットのユニクロと8シルエット前後あるナショナルブランドとどちらが選びやすいと感じるだろうか?」
といった指摘には頷かさせられます。
つまりジーンズナショナルブランドは品番を断捨離し、1型1モデルのような最低限の品番数で、消費者に選びやすくする必要があるという指摘で、こう締めくくられている。
「たくさんの消費者ニーズに対応するために恐ろしく多品番化するという手法をナショナルブランド各社はそろそろ卒業しなくてはならないだろう。」
確かに今の手法は効率も悪いし、消費者目線で決してやさしいとは言えず、こうした決断が必要な時が来ているのかもしれません。
ジーンズナショナルブランドの販路に問題がある
この問題にもう少し踏み込むと、ジーンズナショナルブランドは販路のメインがジーンズショップというところに問題があるのだと思います。ジーンズナショナルブランドがジーンズショップで他のナショナルメーカーより目立つためには良い棚を出来るだけ広く確保する必要があり、そのため、ジーンズ各社はとにかく品番を多くし、選択肢を増やす事で、この売り場の棚を確保するといった手法を取っています。
この事はスニーカーにも同様の事が言え、例えばABCマートのような量販型のスニーカーショップにいくと、NIKEもadidasも、USA製やUK製にこだわった20000円~のラグジュアリーモデルを作っているニューバランスでさえ、数千円の低価格帯の品番を多数用意している状況です。
こうした手法で、各メーカーはスニーカー量販店の売り場の棚を取り合っているのです。
現在、ABCマートはスニーカーブームにも押され絶好調(ABCマート最高益!(2014年3~5月期))ですが、ジーンズが売れない近年、ライトオンをはじめジーンズショップは軒並み大不振です。
※ライトオン苦戦中!3ヵ月連続売上2ケタ減。
好調な時はこういった手法でどんどん消費者の需要に応えていけば良いのですが、潮目の悪い時期になると品番を数多く作れば作るほど、売れ残りが増え、セール価格での投げ売りなどで粗利率も下がってしまい、販売数も客単価も下がり悪循環に陥ってしまいます。
現在、ジーンズ業界はこのような状況にドップリと陥ってしまっている状況です。
理想論を言えば、ジーンズショップとジーンズメーカーが力を合わせてこうした状況を打開してジーンズ人気を復活させ、苦境を打破していくのがベストなのですが、こうした苦しい状況が長く続いている現在、ジーンズショップだけに頼らなくても済むような、例えばかつてのナショナルが全国にナショナルショップを作り独占的な販路を確保したように、理想の売り場の棚を自らで作り上げたり品番を減らしても売れるような革命的な販路を開拓して行かない事には、この状況は打破できないのではないかと思われます。
しまむらでLeeやラングラーの商品を見る事がありますが、今後、例えばユニクロにLevi'sのジーンズが並ぶ・・・といったような時代が来てもおかしくないのかもしれません。