しまむらの盗作騒動についての私感

少し個人的な考察記事が続きますが、ご容赦ください。

アパレル業界でユニクロに次ぐ、国内二番目の売上高を誇るしまむらが展開する「バースデイ」という店舗で販売されていた商品に使用されているキャラクターが、キャラクターを生み出した個人作家さんの承諾を得ずに使用されていたという事で、話題になっております。

【お知らせ】子供服のモンスターイラストについて|カメレオンフルーツ
http://ameblo.jp/chameleon-fruits/entry-11732766303.html

【株式会社しまむらより】メールが来ました。|カメレオンフルーツ
http://ameblo.jp/chameleon-fruits/entry-11734289050.html

【株式会社しまむらより】まだ途中みたいですが|カメレオンフルーツ
http://ameblo.jp/chameleon-fruits/entry-11734640179.html

現在の状況を要約しますと

1.キャラクターを生み出した作家さんが無断でキャラクターが使用されている商品を発見し、しまむらに問い合わせのメールを出した

2.しまむらからは作品の発表時期、発売開始時期、意匠権所有の有無を問う返信が来る。

3.作家さんが再度、発表時期(2011年7月)、発売開始時期(2011年11月)、個人規模で活動している為、意匠権など各登録はしていないがブログに当時の記事がある旨の説明が送信される。

この時点で、twitterを中心に拡散し、俗に言う祭り状態に。
私自身も少し穿った角度から入ってしまったのですが、「天下のしまむらが意匠権の登録の有無を聞いてくるなんて、意匠権が無ければパクっても良いとでも言いたいのか」といった雰囲気のツイートが多く見られました。

私自身も感じる所がありツイート。




少し捕足しますと、先日のカンブリア宮殿のしまむら社長野中正人社長の回でもしまむら人気と好調の秘密として、自社製作ではなく完全買い取り型で商品を仕入れる事でコストダウンを図り、1万枚などのロットを発注する為、毎日、山のように服飾製造業者が売り込みに来てバイヤーと交渉をする様子が番組内で紹介されていました。

要するに商品をデザインし、サンプルを作り、しまむらに売り込みに行って買い取ってもらえる契約が取れれば一気に大量の発注が入るという仕組み。
納入業者からすれば、買い取りさえしてもらえればコチラのものという感覚を持ってもおかしくはないと思います。

納入業者はほとんどが中小規模の工場を営んでいるような会社が多い印象で、キャラクターデザインまで担えるデザイナーがどれほどいるかと考えると、そのほとんどは外注するのだろうと推測しますが、外注すればコストが上乗せになるわけで、一番手っ取り早いのが、意匠権申請などをしていない個人規模のデザイナーさんのキャラクターを模倣し、製造する事でしょう。

しまむらとしてはせいぜい意匠権登録してあるかどうかぐらいしか盗作の確認のしようがなく、この時点ではその意匠権の有無を問い合わせたのだと思います。
ここまで、本来なら対応に問題がないとも言えます。
なぜなら、意匠権の有無や発表時期を問わなければ、このキャラクターが問題のあるものかどうかの判断のしようがなく、そういった問い合わせ一つで商品販売を止めたり回収していれば、悪質なイタズラで権利を主張され販売を止めさせられてしまう事も起こりうるからです。
そこでそうした事実の確認をする事は必然ではないかと思うのです。

そこで、私のツイート。
この時点でしまむらは納入業者への調査はした方が最善だったのかなと思います。

4.この後、しまむらから「法律上の不備があれば」販売を中止する旨、納入業者に企画の経緯を調査する旨が伝えられる。

時系列がこれで間違いなければ、ややネットの流れにそぐわない発言で反感を買ってしまうかもしれませんが、しまむらの"対応"の不備は冷静な立場から見るとすぐに納入業者への調査をしなかった事ぐらいではないかなとは思うのですが、間違いのないことは、意匠権登録はされていなかったとはいえ、デザインの盗用をしてしまむらに販売するに好ましくない商品を販売させた納入業者の責任は重大という事ですね。

しかし、それを生んだのはやはりしまむらのシステムに問題があったと言わざるを得ません。
恐らく、納入業者への決まり事として意匠権の登録されているものを盗用する事は禁止しているでしょうけど、そういった意匠権の登録をされていないものについては決まりごとがないのではないでしょうか。

即ち、納入業者としてはグレーゾーンだったという感覚でしょう。
モラル的には完全にブラックゾーンですが。

また納入業者との信頼関係を築くような取引ではないため、しまむらの現在の買い取りでの仕入れ方式にはついて回るリスクとも言えます。

法律に詳しいわけではありませんので、確かなことはわかりかねますが、恐らく意匠権の登録が無ければ、販売を差し止めない事も法律上では問題が無いのではないかと推測します。
しかし、モラルから言えば、世間の心象は良くありませんし、今後の再発防止という意味でも納入業者の取引中止など厳格な対処が必要なのではないでしょうか。

ここからの対応は5000億円企業しまむらの懐の深さが試されますね。

追記:しまむらデザイン盗用騒動は販売中止・商品回収で決着。

追記2:しまむらのキャラクター盗用騒動その後