来春始動のアパレル業界の新業態のキーワードは「上質・定番」「ライフスタイル」「西海岸」

先日も来春立ち上がるセレクトショップの新業態のまとめ記事を掲載しましたが、繊維・ファッション業界の専門紙繊研新聞のオンラインサイトで下記記事を発見。

【総合】専門店・SPAが来春に新業態続々|繊研オンライン
http://www.senken.co.jp/news/25474/

「専門店、SPA(製造小売業)の新業態開発が活発だ」という事で、ある程度購買層を掴んだ専門店やSPAが新たな購買層獲得を目指して、新業態を続々スタートさせます。

※参考:来春立ち上がるセレクトショップの新ライン・新ブランドまとめ。(2014年版)

「多くは購買力のある30~40代をターゲットに据え、上質なウエアの提案を強めたり、ライフスタイル雑貨を加えて店の世界を明確にしようとする。」
「新業態のキーワードは「上質・定番」「ライフスタイル」「西海岸」」

といったところがキーワードで、上記セレクトショップの新業態まとめで出てくる中でも、UNITED ARROWS「ASTRAET(アストラット)」、UNITED ARROWS「Boisson Chocolat(ボワソンショコラ)」、SHIPS「SHIPS Days(シップス デイズ)」といったところがまさしくそこ狙い。

アパレル業界のターゲットが一番敏感な10代20代ではなく30代だという所に寂しさを感じますが、逆にいえばそれほどファッションに敏感な層が増えたとも考えられ、新たな業態でそういった層に上質なものを提供するショップが増えるのは大歓迎ですね。

ファッション業界が非常に盛り上がった90年代をリアルに体感した現30代も年齢の加齢と共に一度はファッションに迷いが生じる時期を過ごしたはずで、コストパフォーマンスと見た目重視で選んでいた若い頃から、30代になり今度は素材やディテール、丁寧な作りのものなど上質なものに興味が移ろいで行く、まさしくその"新たな"層に提案する新業態。

アパレル業界から一足先に、インテリア雑貨の大手FRANCFRANC(フランフラン)などは、ターゲット層だった層が年齢を重ねるのに合わせて、ショッキングピンクがテーマカラーだった以前のスタイルから、ナチュラルな色使いのものや、ワンランク上質なものを提案する業態に華麗に転身しています。

記事中ではセシルマクビーがスタートさせる「セシルデイズ」が紹介されており、幅広すぎた年齢層と書かれていますが、こちらもどちらかというと10代~20代がターゲットのセシルマクビーが、全盛を誇った頃にターゲットだった層の年齢に合わせた新業態をスタートさせるといった印象。

以前は長年着ていたブランドやショップの購買層に合わなくなったり、自分の趣味も移ろいだりすると、次に何を着れば良いのかわからない、といったファッション難民が出現しますが、そういった層にしっかりネクストを提示することで新たな世代を取り込むという狙いを感じます。

「西海岸」は、記事中に指摘のあるように、なんでもかんでもアメカジと呼ばせてしまい、少し使い古されてしまった「アメカジ」という言葉を言い換えたもののように感じます。
西海岸は古着の世界においてもキーワードであり魅力的な地域ですが、何より言葉の響きが好印象なのも大きいのではないでしょうか。

西海岸にある都市は?と聞かれて一つも答えられない人はたくさんいらっしゃると思いますが、そんな人でも西海岸というのは、どこか良いイメージを抱かせているようなそんな印象です。
ただ、イメージがファッションとしては抽象的なのでキーワードとしての賞味期限は短いと思います。