2015年の古着業界を占う

新年明けましたので、2015年の古着業界を占うと題し、古着屋情報サイトを運営している立場から2015年の古着業界を予測してみたいと思います。

近年、古着業界は好況でした。
現場の声はいろいろあろうかとは思いますが、古着屋情報サイトを運営している立場から、登録ショップの増加傾向やアクセス数などを見て判断するに、2014年4月までは完全に好況だったと断言します。

その要因は1番は円高。一時、1ドルが70円代に突入するほどの円高が進み、アメリカやヨーロッパから買い付けることが多い古着業界にとっては仕入れコストが下がり、大きな追い風になりました。

もう一つ大きかったのは80年代や90年代のブームで新たな市場が生まれたこと。
大阪南堀江の古着屋jaBBerなどが先駆けとなり、これまではそれほど価値を見出されて来なかったジャンルの古着に光を当て、ヴィンテージとはまた違った市場が本格的に創設されました。

これにより、古着屋の参入障壁が大幅に下落。
これまでは古着屋を営むにはヴィンテージの知識が必要で、ファッションの歴史に対する深い知識や、またそうした貴重なヴィンテージ商品を仕入れるルートやコネクション、資金力が必要とされましたが、昨今ではヴィンテージ的価値を必要とせず、格好いいものを安く提供する、というスタンスでのショップ展開が可能となりそうした古着屋開業に対する様々な障壁がなくなりました。
それにより新感覚の古着屋がたくさん登場し、ストリートシーンを盛り上げました。
これにはブログやTwitter、Facebookなどの発信力を持つ媒体をうまく利用することで実現可能となっており、取り扱い商品に一点物の多い古着業界にとっては、こうした情報発信革命も強烈な追い風となりました。

そして、デフレ。
デフレはユニクロやジーユー、しまむらなどのファストファッションだけが恩恵を受けたように見えますが、そうしたファストファッション業態に価格面でも対抗できる古着販売業態は、他の業態ほどファストファッションの脅威に晒されることなく、安いものが欲しいけれど、他の人とは違うものを、という欲求を持つ感度の高い若者を中心に取り込むことに成功してきました。

まさに2014年前半までのここ数年間は古着業界にとって、第3のバブル期といっても過言ではないような状況だったと思います。

さて、2015年ですが、アベノミクス効果もあり、円安が猛烈な勢いで進んでおります。
海外買い付けの多い古着業界や海外で製造することの多いファッション業界においては、仕入れ値が倍増し、円安は強烈な逆風となっておりますが、先の衆議院議員選挙でも自民党が勝利し、安倍政権の長期に渡る支配が決定的となりましたので、この逆風は数年に渡って続くと思われます。

また、2014年4月の消費税増税を機に、生活必需品ではない趣向品の部類に入るファッションとしての衣類に使われる金額が明らかに縮小しており、これは残念ながら古着業界にも間接的な打撃を与えています。

こちらも安倍政権が信任されたことで、消費税再増税が決定。更に増税されるタイミングが先延ばしになったことで、2014年3月と2014年4月以降に見られる更なる駆け込み消費と増税後のファッション業界の流通総額の減少に繋がる可能性があります。
また消費の傾向が安いものを使い捨てる風潮から、良いものを長くへの流れも加速し、一部、原点回帰的な流れを生むことが予測され、ヴィンテージアイテムを多く取り扱うようなお店への影響は比較的マシになるかとは思いますが、近年急増した新感覚の古着店にとっては打撃となる懸念があります。

総合的に考えて、2015年の古着業界は、逆風が吹いていると考えて間違いないでしょう。

古着屋情報サイトF-STREET、関西を中心にファッション業界をログするF-logを運営する身としては、その逆風を少しでも無効化させるよう、そして新たな風を吹かせられるよう、必死に活動して行きたいと思います。