中国の工場で大規模ストライキ
中国の広東省東莞市にある靴工場「裕元工業・東莞工場」で今月14日から約10日間に渡って5万人規模のストライキが実施されたようで、同工場に製造委託しているアディダスやナイキに影響が出ているようです。アディダスは早い段階で委託先を一時移転させて対応したようで、またナイキも実際に移転していたかは不明ですが少なくとも移転も含めて検討していたと思われます。
ストライキの原因は?
ストライキの原因は従業員側から福利厚生改善や給与引き上げを要求していたとされており、CNNによりますと「工場から社会保険料や住宅手当が全額支払われていないと主張している。また不正な労働契約が原因で、子どもたちを地元の学校に入れることができないという。」といったところが具体的な理由のようです。現在は収拾
現在は工場側が福利厚生改善や給与引き上げの条件を飲み(全部か一部かは不明)、28日よりすべての部門で正常に操業再開されたようです。25日に同社が発表した今回のストライキによる損失は2700万ドル(27億円)にも及び、また今回の和解で支払う人件費の負担は3100万ドル(31億円)としており、同社には甚大な損失となった模様。
今後の影響
中国での人件費の増加はここ数年顕著で、中国に製造を頼ってきたアパレル各社は中国の人件費のアップによる製造コストの増加に苦しんでおり、中国政府の介入もあった今回のストライキの結果は今後の更なる人件費の増加を予感させ、アディダスやナイキだけでなく、中国に製造を頼っている日本のアパレル各社にも影響してくるのではないかと思います。今後は中国以外の東南アジア地域に製造拠点を移す動きが加速するかもしれません。
ただし、輸送面で日本に近い中国の優位は変わらず、例えば国内最大手のアパレル企業ユニクロも今後も中国での製造を継続させる意向のようで、まだ暫くは日本の各社は中国での製造コストの増加と向き合っていかなくてはならないと思われます。
また最終的にはそういった製造コストの増加は価格に転嫁されると予測され、アディダスやナイキのスニーカーをはじめとする中国で製造されているアイテムの将来的な価格上昇が予想されます。