ギャルブランドANAP上場5ヵ月で業績予想を大幅下方修正。「クソ決算」「上場ゴール」と批判が集まる。

ANAP業績予想下方修正で赤転

ヤング層向けのレディースファッションブランド、俗に言うギャルブランドのANAPがJASDAQに上場後5ヵ月で業績予想を大幅下方修正し、「クソ決算」「上場ゴール」と批判が集まっています。

業績予想、配当予想の修正及び役員報酬の減額に関するお知らせ|ANAP IR情報
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1138661

修正された業績予想は

売上げ高 9488→9266(△2.3%)
営業利益 406→0(△100.0%)
経常利益 368→10(△97.3%)
最終利益 176→△54(-,赤字転落)

となっております。

批判が集まっているのはこの業績予想の修正が上場後5ヵ月であること、大幅に下方修正された数値、そして最終利益が赤字転落である事といったところです。

上場ゴールとは。

上場して創業者利得を得ることを目的としているようなベンチャー企業。あるいは、上場時の初値(公募価格)が高値で株価が下落しつつづけるような会社、上場後に業績の下方修正を連発するような会社のことを指す。-上場ゴール|投資用語スラング辞典
という事で、まさしく今回のANAPの事例に酷似した内容となっています。

赤字転落の原因は?

下方修正の要因としては下記の様な理由が挙げられています。

当社が属するレディースファッション業界におきましては、本格的な景気回復への期待感から一時的に消費回復傾向が見られるものの、当該内容は限定的であり、台風、大雪といった秋冬の天候不順、及び明確なファッショントレンド不在の市場環境を受けて、厳しい経営環境が続きました。その結果、セール販売に伴う売上総利益の減少に伴い、当社業績は前回の予想を下回る見込みとなりました。
売上高につきましては、度重なる台風、2月の記録的な大雪などの影響を受けて、前回予想を221 百万円下回る9,266 百万円となる見込みであります。
利益面につきましては、秋冬物のセール販売の増加により粗利率が低下しました。また、売上高の減少に加えて、物流業務の効率化を目的としたアウトソーシング費用の影響を受けて、販売費及び一般管理費が増加する結果、営業利益、経常利益はそれぞれ前回予想を406百万円、358 百万円下回る見込みであります。
当期純利益につきましては、上記要因の他に、不採算店舗の減損損失を計上する見込みであることなどから、当期純損失54 百万円となる見込みであります。
まとめますと。

  1. 台風・大雪などの秋冬の天候不順
  2. 明確なファッショントレンドの不在
  3. セール販売増加
  4. 物流業務の効率化によるアウトソーシング費用の増加
  5. 不採算店舗の物損損失計上

といったところになっています。

対策は?その効果は?

注目される業績回復の対策は下記の通り発表されています。

当期における下半期は、経営体質の改善及び業績の回復に向けて、経費削減及びインターネット販売事業に注力する施策を実施してまいります。
と、当期下半期はオンラインでの販売に注力するとの事。

そのオンラインショップがこちら。


価格帯はTシャツ2900円、アウター4900円、ボトムス3900円といったところ。
ファストファッションにカテゴリーされる価格帯で、ギャルブランドによく見受けられる品質重視というよりはトレンドに合わせたデザインの服を低価格で販売といった業態のブランドと言えます。

こういったブランドはより価格競争が激しく、実際にアウトレットコーナーが常設されていたり、トップページでセール品が大々的に掲載されていたり、特に価格競争の激しいインターネット販売ではプロパー価格での販売増は難しいのではないかと予測されます。

赤字転落の原因は、昨年から今年にかけてのアパレル業界全体に言われたマイナス要因の全部乗せといった印象ですが全てが外的要因であり、更に業績回復の対策が、極めてレッドオーシャンなインターネット販売事業に注力という業績回復の起爆剤になるとは思えない対策で、とても黒字化出来るような業績回復は見込めないのではないかと思います。

また消費増税による消費の冷え込みなど外的要因はむしろ今後の方が深刻に直撃すると思われ、今後の業績回復は平坦な道ではないと言えるでしょう。