南充浩の繊維産業ブログ「一時代の終焉」から。

非常に気になる記事がありました。

一時代の終焉|南充浩の繊維産業ブログ
http://blog.livedoor.jp/minamimitsu00/archives/3939390.html

大阪のミナミ地区。特に堀江と南船場四丁目の凋落を憂いた記事。

南充浩さんは大阪在住の繊維業界新聞「繊維ニュース」の元記者さんで、一年半前にも「アメリカ村・堀江・南船場がますます過疎化する」という記事を執筆されています。

南さんの記事を読むと大丸百貨店周辺に高級ブランドのお店が立ち並んでいるのは、「自店の周辺を買い上げ、そこにブランドを誘致して路面店出店させているから」など、素人には知らなかった事実が知れて楽しい。

さて、堀江・南船場の凋落について私感を。

私の若かりし頃、今より15~20年ほど前のお話。
アメリカ村は活況に溢れ、BIGSTEPを中心に紛れもなく西のオシャレスポットだった。

その後、堀江に裏原系ブランドを中心に人気店がどんどん路面店を構え、記憶の都合上、時代が多少カオスになるが、当時BEAMS、UNITED ARROWS、STUSSYなどが入居していたアメリカ村のBIGSTEP、FULLCOUNTやタイニーなどが入居していた東急MINAX、ヒステリックグラマーに、現在のマグネッツ辺りにあったX-LARGEに堀江に抜ける交差点の所にBUSY WORK SHOP(A BATHING APE)、そしてリアルマッコイズの前身で大型古着店NYLONとその周辺のTHRIFTY、サウスブロンクス、C-BROWN(後に立花通りへ移動)、アトミックライフグラマー、イエスターなどの人気古着屋さん、DEPT STORE、堀江に抜け立花通りには南さんの記事で立花通りの象徴とされているA.P.C、NEIGHBORHOODやアメリカンラグシーなどの人気店が順々に立ち並んで行き、DENIMEなども堀江に進出。南船場にはX-GIRLはじめレディースのお店が多く軒を連ねていた。
またサタンアルバイトやNEW PORTなど大阪発のお店も人気でとにかく若者が買い物と言えば、アメリカ村、堀江というぐらい、まさに全盛期。

そして2000年代に入り、次第にファストファッションのお店が人気を博すようになり、また大型ショッピングモールが次々に出来てきたことで、大阪ミナミの様子は様変わりして行った。

現在の若者(バンタンの学生さん)にBIGSTEPがオシャレスポットだと言ったら、大阪の若者にも首を傾げられてしまった。

ミナミはどんどん便利な駅近にH&M、ユニクロ、ZARA、GAPなどのファストファッションブランドが開業しているが、個人的には悲観的だけにはとらえていない。

近年、情報発信が容易になりつつある古着屋業界では郊外型の店舗が増え、家賃などの固定費を抑え、インターネット(ブログ、通販)をうまくツールとして使い集客するスタイルが常識となってきている。

しかしながら、アメリカ村や堀江が一時のバブル的な活気を失うことで、家賃相場が下がれば実店舗でもより良い環境を求めるのが自然な流れで、人気ブランドの路面店が乱立した時代が異常・異様だっただけで、それによって郊外に弾かれた古着屋などの個人経営のお店が繁華街に戻ってくるのではなかろうか。

それにより、近年の「コスパ至上、女子ウケ重視」で平均化されたファッションスタイルから、80年代より独自の文化で発展してきた大阪のファッション文化を取り戻すのではないかと思う。

もちろん、どちらが良い悪いというものでもないが、それでもインターネットの普及で嫌でも全国標準化してしまう時代に、そういった独自のファッション文化があるのは貴重だと思う。

実際に家賃相場の変動などの事情を知っているわけではないが、古着や情報サイトを運営している手前、各地域の開店・閉店状況には詳しい方だが、ずっと下げ止まらなかったアメリカ村の古着屋掲載数がここ最近、下げ止まった手応えがある。
新しいお店の出店も見られるようになって来たし、GRIZZLYやACORNなど南船場に連続して古着屋が出店した。

個人的な話になってしまうが、今一度、古着の街アメリカ村、古着の街大阪を復興し、世界一の古着の街にしたいと本気で思っている。