「UTme!」の利用規約問題経緯
先日、ユニクロがリリースした自分でデザインした自分だけのオリジナルTシャツが1990円で作れる新サービスアプリ「UTme!(ユーティーミー)」。※ユニクロ「UT」から自分だけのオリジナルTシャツが1990円で作れるアプリ『UTme!』登場!!
その後、投稿した時点で著作権などの権利がユニクロに無償譲渡されるという権利帰属に関する利用規約が凄いと話題になり、twitterなどのSNSを中心にバッシングが展開され、ユニクロが権利帰属に関する利用規約を「著作権はユーザーに帰属する」と変更し、一応の決着をみました。
※UTme!の利用規約が凄いと話題に。
※批判を受けユニクロが「UTme!」の規約を変更!
なぜユーザーが拒否反応を示した?
では元々の著作権などの権利がユニクロに無償で譲渡されるという利用規約のどこにユーザーが拒否反応を示したのでしょうか。もしユニクロに著作権などの権利が移管すると、どんな事が起こるのか。
「ユーザーは、当社が実施する各種キャンペーン等に投稿データが使用されることに同意するものとします。」といった一文が盛り込まれていたことかた、恐らく、ユニクロがやりたかったのは、ユーザーからたくさんのデザインを収集し、その権利を譲り受けることで例えばその中の優秀な作品を商品化したり、または優秀な作品を集めて実際に購入出来るような「UTme!」のキャンペーンやイベントを開催したりしたかったのではないかと推測されます。
この点は受け止め方に個人差はあれど、これだけでネットでバッシングが広まるほどの事はなかったと思うのですが、「ユーザーは、当社及び当社から権利を承継しまたは許諾された者に対して著作者人格権を行使しないことに同意するものとします。」という一見して穏やかではなさそうな一文が盛り込まれている事で、「一度、投稿してしまったらそのデザインはユニクロのものとなりユーザーは今後一切使えなくなる。」という印象を与えてしまった事で、特にデザイナーやクリエイターといった分野の方々を中心に嫌悪感を抱かせてしまった印象です。
何が問題だった?
しかしながら、利用規約は明記されていなかったわけではなく、しっかりと公式HPなどに明記されていました。SNSなどでもバッシングとは対象的に「嫌なら使わなければ良いだけ。」といった発言も目立ちました。
「嫌なら使わなければ良い。」というのは一見、ユニクロ擁護の発言にも受け取れるかもしれませんが、実際は非常に冷静で真っ当な意見です。
本来は、「UTme!」が問題となった利用規約ありきでサービス提供されているのですから、その利用規約に納得し、従える人のみが使用するべきなのです。
ですが、ネットサービスやアプリを使用する人が、しっかり一語一句逃さずに利用規約を読んでいるかと言えば、ちゃんと全て読んでいる人は推測ではありますが、恐らく一割にも満たないのではないかと思います。
「UTme!」の利用規約も一見すると、公式サイトのどこに書いてあるのかよくわからず、まだ比較的目を通すと思われるパソコンユーザー用のページでもファーストインプレッションでは利用規約ページへのリンクは表示されていません。
画面を下の方にスクロールして初めてFAQやプライバシーポリシーなどと共に表示されるといった具合。
そして利用規約ページを読もうにも、第十九条まであり、しかも法律に関する難解な文章が並び、とても全て目を通して全てを理解して使えるユーザーがいるとは思えません。
即ち、ほとんどのユーザーが知らないまま利用するであろう利用規約にそのような条文が書かれていたという事で、実際に利用したユーザーやこれから利用しようとしていたユーザーに対し「騙している」ような印象を抱かせてしまいました。
ユニクロに騙して使わせようという意図があったとは思えませんが、少なくともユーザーにそういった印象を与えてしまった事が今回の問題の発端となってしまいました。
ネット特有の問題だった。
このような問題は、恐らく店頭のみで受け付けていれば、オペレーターが事前に著作権をユニクロに無償譲渡する事になるのであればそのように説明するでしょうし、ユーザーもそれを理解した上で利用の有無を決断する事が出来たのではないかと思います。今回の問題は、利用規約が形式だけのものになってしまっているネット上だからこそ起こりえた問題だと言えます。
利用規約変更でどうなる?
利用規約が変更された事で、著作権はユーザーに帰属する事となりました。これで、ユニクロがユーザーの投稿デザインをTシャツに乗せて販売するキャンペーンやイベントを開催するという事がやや難しくなったのかもしれません。
第九条v項に記述されている「ユーザーのうち、シェアボタンを選択あるいは投稿データの共有をご了承いただいた方は、UTme!!サイト、当社ウェブサイト及び当社が実施する各種キャンペーン等に投稿データが使用されること及び当社に対して著作者人格権を行使しないことに同意するものとします。」という方法で同意したユーザーのものはユニクロがデザインを使用して販売する事が可能になりますが、実際にどれだけの作品がこの規約に同意されるかわからず、また集まる作品のクオリティーも下がることが予想されるので、本来、ユニクロがやりたかった規模でのキャンペーンやイベントは出来ないのではないかと思われます。
ですが、反対に、個人クリエイターの方を始め、何らかデザインを生業にされている方には1990円でオリジナルTシャツが作成出来る事になり、またボディーにも今期からクリエイティブディレクターNIGO氏がこだわった「UT」のスペシャルなボディーを使用したTシャツを手に入れることが出来、安価で上質なオリジナルグッズを製作出来る事になったのではないでしょうか。