ファッションのあり方が変化しつつある事を実感させられる2つの記事を紹介
本来「オシャレ」とは無縁であるはずのファストファッションの隆盛が続いていたり、ファッション誌が売れなかったり、ここ数年、ファッションの価値観は目に見えて下落してきている。
そんな事を実感させられる2つの記事を紹介。
VANQUISH石川涼氏が語るファッションの終わり
こちらメンズマルキューブランド「VANQUISH」の創業者で株式会社せーの代表取締役石川涼氏のインタビュー記事。
記事中では「ファッションは終わりますよ」と刺激的な発言をしている。
その根拠がネットにより広告宣伝費を抑えることが出来るようになったため、圧倒的な物量で低価格を実現出来るグローバルブランドに有利な状況になっており、マルキューブランドの代名詞だった「安くてかわいい、かっこいい」がグローバルブランドに奪われつつある事。
現在、若者に質問すると「109は高い」と言われる状況に陥っているという。
更に気になるのが「多くのアパレルブランドのコアターゲットである若年層にとって、ファッションはすでにコミュニケーションツールにならず重要ではない。」という発言。
そのまま受け取って考えれば、現代の若者にとって「オシャレ」である事はそれほどステータスにならなくなって来ているという事なのだろう。
チームラボ猪子寿之氏が語る21世紀のファッション
またこちらはGQ JAPANが公開したチームラボの猪子寿之氏のコラム。
歴史をひも解くと、元々、ファッションは自分の階級を現わしたり、自分と社会との接点を作る役割を持つ物だった。
20世紀ではブランドという価値観が新たに加わり、その価値観を共有する事でファッションは自分と社会との接点を作る役割を持ち、他者との関係性のためになくてはならないものになっていた。
それが21世紀に入りインターネットの普及と共に、情報が溢れすぎて人間が共通の情報を持つことが不可能になり共通の価値観を持たなくなった事で、ファッションの価値観も下がっていってしまった。
現在はファッションよりも「整形も含めて広い意味で美容にお金を使うとか、どれだけうまく化粧をするかとか、瞳を大きく見せるためカラーコンタクトにするとか、美肌効果のある化粧品を買うとか、ジムに通う」といった事にお金を使うようになって来ている。
今のネット世代には価値のある服を着てオシャレをする事よりも、フェイスブックのプロフィール画像を可愛く見せることが大事で、ファッションセンスよりも、自撮りで可愛く見せるテクニックの方が重要になってきているという。
ファッションは終わるのか?
どちらの記事にも共通しているのは、現代の若者にとってオシャレは以前ほどステータスではなくなってきているという点。
オンラインショッピングの普及でショッピングの選択肢が大幅に広がり、インターネットの発達で情報発信も情報収集も容易になった事でグローバルブランドはグローバル展開しやすくなり、また反対に個人レベルの小規模ブランドも生まれやすくなった。
そういった多様化が皮肉にも価値観を共有出来なくなって来ている一因にもなっており、流行のスタイルやヒット商品が生まれにくくなって来ていると言える。
このままでは確かにファッションが終わる可能性も秘めているが、現在のような情報が氾濫して整理されていない時代では仕方のない面もあり、今後、そのような状況を打破できる強い発信力を持った人物やブランド・企業などが出てくればまたファッションは盛り上がりを見せるのではないだろうか。