アメリカンアパレルが創業者ダブ・チャーニーCEOを解雇。ダブはなぜ解雇された?

メイドインU.S.Aにこだわり続けるアパレルブランド「アメリカンアパレル」の創業者でCEOのダブ・チャーニー氏が、現地時間の18日に開催された取締役会での投票の結果、解雇される事が決まったと発表されました。

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ダブ・チャーニー氏は昨今のファストファッションブームの裏で繰り広げられる労働者搾取に反対し、ロサンゼルスにある自社工場では最低賃金時給12ドルという条件で4000人を雇用。世界一人件費の高い工場を持つ事を誇りにしており、近年盛り上がりを見せるフェアトレードの精神を持つ経営者です。

ちなみに週刊文春が報じ、後に裁判沙汰にまでなったユニクロの製品製造を委託している中国の工場は「月給2万円」と報道されており、更に数年前から労働者賃金がおよそ1/3であるバングラデシュに進出しており、直近の会見などで更にそうした低賃金の国での生産比率を高める方針を打ち出しております。

アメリカンアパレルは現在、世界20ヶ国に約250の店舗を展開しており、1989年に創業して以来、ここまでの規模にアメアパを育てたダブ・チャーニー氏の事実上追放とも言える解雇に、同社は「調査中である不正疑惑」との理由を発表しております。

この不正疑惑が何なのかは発表されておりませんが、2008年にダブ・チャーニー氏がセクシャルハラスメント疑惑で同社の元社員に訴えられており、この問題が解雇理由の一つと推測されています。

また今年2月には負債が2億4000万ドルに達し、法律事務所スキャデン・アープス・ミーガー・アンド・フロムLLPの弁護士らを顧問に迎え、ダブ・チャーニー氏の株式保有比率を44%から28%に下げるなど事業再編に取り組んでおり、ここ数年、経営面での同氏の資質を問う声も上がっていたようです。
実際に、今回、新たに取締役会の議長に選出されたアラン・メイヤー氏のコメントの中に「アメリカンアパレルはダブ・チャーニーによりここまで創り上げられたが、会社は1個人ではどうにもならない規模に成長した。」との言葉がある事からもそういった事情が伺えます。

こうした複合した事情により創業者を解雇し新体制となるアメリカンアパレルですが、今後もメイドインU.S.Aにこだわり、「スウェットショップフリー」を掲げフェアトレードの信念を守り続けていくとしております。

なお新たなCEOにはOld Navyの元CFOで2011年2月からアメアパの副社長兼CFOを務めてきたジョン・ラットレル氏が就任します。