ファッション誌の発行部数ランキングに見る今後のファッション誌の動向。

日本ABC協会発表ファッション誌発行部数ランキング

日本ABC協会(http://www.jabc.or.jp/)から2013年下半期の雑誌販売部数ランキングが発表された事を受け、宝島社がプレスリリースを出しています。

宝島社が出したプレスリリースなので、一部日本ABC協会未登録の同社雑誌も含まれていますが、発表された発行部数ランキングは下記の通りです。

1位  『InRed』(宝島社) 260,085部
2位  『sweet』( 宝島社) 242,567部
3位  『MORE』(集英社) 2313,28部
4位  『VERY』(光文社) 230,324部
5位 『non・no』(集英社)  227,379部
6位 『Seventeen』(集英社) 201,371部
7位 『リンネル』(宝島社) 199,795部
8位 『with』(講談社) 185,118部
9位 『GLOW』(宝島社) 180,234部
10位 『オトナミューズ』(宝島社) 180,000部 ※日本ABC協会未登録、2014年3月創刊号 自社調べ
11位 『LEE』(集英社) 178,714部
12位 『ViVi』(講談社) 178,671部
13位 『STORY』(光文社) 169,448部
14位 『大人のおしゃれ手帖』(宝島社) 160,000部 ※日本ABC協会未登録、2014年3月創刊号 自社調べ
15位 『nicola』(新潮社) 151,638部
16位 『steady.』(宝島社) 144,758部
17位 『mini』(宝島社) 142,051部
18位 『CLASSY.』(光文社) 141,528部
19位 『smart』 (宝島社) 137,760部
20位 『BAILA』(集英社) 130,233部
21位 『クロワッサン』(マガジンハウス) 120,364部
22位 『ポップティーン』(角川春樹事務所) 113,079部
23位  『MonoMax』(宝島社) 110,358部 ※日本ABC協会 男性情報 モノ・トレンド情報カテゴリ登録
24位  『婦人公論』(中央公論新社) 109,485部
25位  『AneCan』(小学館) 107,919部

日本ABC協会

日本ABC協会発表なので、同協会に登録されていない、例えば公称37万部のカジカジなどはランキング対象外です。

しかしながらABC協会のHPでも注意書きされていますが、「公称部数(自称部数)とは、ABC協会に参加していない発行社が自社発表しているもので、数倍から10倍以上の部数を自称している場合があります。」と、雑誌の公称発行部数は広告との兼ね合いもあることから、実売部数ではなく発行部数であったり、かなり大きめに発表されている事が多いです。

日本ABC協会は第三者として部数を監査(公査)し認定している団体で、このランキングは実売部数にかなり近い数値を出していると思われます。
ちなみにABC協会に登録している雑誌が166誌ですので、未登録の雑誌も相当数あることは間違いないですが、有力出版社発行の雑誌は概ね登録していますので、上位はそんなに実際のランキングと差はないと思われます。

女性誌が人気

ランキングを見ますと、やはり女性誌が上位を独占しています。
その中でも30代女性向けのinRedをはじめ、リンネル、GLOW、オトナミューズ、大人のおしゃれ手帖など、大人の女性向けの雑誌の好調さが伺えます。

男性誌はsmartが19位に、ファッション誌ではありませんがMonoMaxが23位相当の位置にランクインしているだけで、他は全く見当たりません。
ちなみに「Men's non-no」がABC協会の調査で80,000部、POPEYEで92,000部程度です。

宝島社が上位独占

出版社別に見ますとやはりこのジャンルでは宝島社の独壇場。
宝島社の発表なので、一部ABC協会未登録の雑誌が入っているとはいえ、非常によく売れていますね。

総合的に見ると、付録が豪華な雑誌が強いですね。
男性誌でランクインしているsmartやMonoMaxも付録が豪華でついつい付録買いしてしまうような雑誌です。
この辺りも宝島社の戦略が当たっている秘密でしょうか。

今後のファッション誌は?

男性誌では、以前はファッション誌と言えば流行に敏感な若者向けのものが中心だったわけですが、今後は30代~50代に向けた雑誌が発行されたり売り上げ数を伸ばしたりする事が想像されます。

またsmartやMonoMaxのヒットによって、今後は男性誌でも付録を充実させる雑誌が増えてくるかもしれませんね。

女性誌では若者向けの雑誌の売り上げが伸びておらず、また小悪魔agehaを発行していたインフォレストが倒産し、さらにギャル雑誌の先駆者で一時は公称50万部とも言われたeggも遂に5月31日をもって休刊すると元メンズエッグ読者モデルの植竹拓氏のブログの4月21日のエントリー「egg休刊とギャルカルチャーの今後。」で記述されています。
この流れは90年代から始まったギャル文化の衰退を意味し、現在のファッション誌が提案するスタイルが10代の若者にフィットしなくなっている事の象徴ではないでしょうか。
即ち、今後はこの空白区となりつつある10代向けの新たなスタイル提案が出来るファッション誌が次のヒット雑誌になるのではないかと予想します。